カンくんは壁にもたれ掛かる様にしてタバコを吸っていた、灰皿にはもう何本もの吸殻が溜まっている。

「カンくん」

「なんだよ」

「心配した?」

カンくんはふてくれされた様にそっぽを向いて。

「当たり前だろ」

「カンくんありがとう、私を心配してくれて、丸一日もずっとそばにいてくれた、それに起こさないでいてくれた」

「それは、お前があんまり安らかに眠るもんだから、きっといい夢を見てるんだろうってな、それだけだよ」

私は瞼に込み上げるものをぐっと抑えて、微笑んだ。私はその眠りの中で大切なことを成し遂げたんだ。

「カンくんきっとね」

私が言いかけると同時に店の扉が開いた、入って来たのはこの前コンビニで見かけた少年で、マイクロフォーサーズで出会ったアデスそっくりの少年だ。

「すばるか!やっと会えた!」

カンくんはアデスを見るなり抱きついた、私はそんな二人を見て瞼から水を流した。