「見ない顔じゃのー」

この家主と思われる老人は、私が乗っているのと同じような板に乗って現れた。

足元には紙袋が二、三個置かれていてどうやら買い出しの帰りみたいだ。

「こんにちは」

その後の言葉に詰まった、本当に一体ここはどこなのかを尋ねたい気持ちでいっぱいだったけれど、よく考えたら私が何処から来たのか、何者なのかうまく説明できない気がした。

老人は何も尋ねないので沈黙が訪れた、どうしようこのまま行ってしまおうか?

「茶飲んでいくんだろう」

「え?」