マティアスはベッドの上で金色の頭を振りながら、私を切なげに見つめた。

 ……なんだか、この前に見た時よりも、痩せた気がする。

「マティアス様、この前はヴァレールが……兄が、来てくれたのに、追い返すなんて、本当にごめんなさい。私どうしても、直接お礼が言いたくて」

 マティアスは眉を寄せて、私に手を伸ばした。

「君が謝ることなんて、何もない……おいで、ニーナ」

 戸惑いながら、私が手を伸ばすとぎゅっと胸に抱きしめられた。

 私にはなんだか、懐かしい匂いがする。マティアスの匂いだ。

「ニーナ。会いたかった」

 ぽつりと呟くように囁かれ、私も小さな声で言葉を返した。

「私も会いたかった」

「随分と……都合の良い夢だな。ニーナが、僕にこんなこと言うはずない」

 自嘲するように呟くと、マティアスは私をベッドの方へと押し倒した。

 キスをしようとして、躊躇いなく顔を近づけてくる。

「待って……マティアス。私は聞きたいことがあるの」

 私は慌てて、彼の口元に手を当てる。マティアスは愛おしそうに、その手を取って頬に当てた。

「何?」

「どうして、悪魔と契約したの?」