けれど、大きな背中に体を寄せれば、だんだんと温かく感じるようになっていた。

 私は少しでも熱を取ろうと無意識に腰に手を回し、彼はそんな私の両手を取り、息をかけて、少しでも温めようとしてくれていた。

 あたたかい。

 私は目を閉じて、体を預けていた。

「ニーナ」

 少し時間が経ってから、戸惑ったようにジャンポールが声をかけてきた。

 体を預けていた私が、このままだと眠ってしまうと思ったのかもしれない。

「はい」

「無事で、本当に良かった。俺があそこに居たのは、偶然だったが、偶然を神に感謝する」

 温かい雫が、冷えた私の手に落ちる。

 私は……この人に助けられなかったら、水に落ちたままで死んでいた。

「本当にありがとう。ジャンポール……」

 身体が少しずつ温かさを取り戻して余裕が出来たせいか、私は悪戯心が出てきてしまった。

 彼は身体が資本の騎士だ。腹筋は……割れているのかな?

 昔、シメオン兄さんやヴァレール兄さんとの水遊びに付き合った際に、ヴァレール兄さんには腹筋が割れていることを自慢された。