確実に私の濡れた身体を、どんどん冷たくしていった。

 ジャンポールは心配そうに、ガタガタと震えている私を見た。

「……土地勘のない場所で、闇雲に動くのは危険だ、このままいずれ追いつくだろう救助が来るのを待つしかないが、君が凍死してしまう」

 悲しそうに、顔を歪めて呟いた。騎士用の上着を脱ぐと、彼は意を決したようにシャツも脱いでいく。

 そして私を見ないよう後ろを向くと綺麗な白い背中を見せ、座った。

「絶対に見ないから。君も服を脱いで俺の背中に体を預けて」

 これには、ぎょっとしてしまった。貧乏貴族と言えど、これでも貴族の娘。外で肌を露出することなど、絶対にあり得ないことだった。

「緊急事態だし、君の体温を奪っているのは、その濡れた服だ。このままだと……本当に死んでしまう」

 静かな悲鳴にも似た声に、私は頷いた。ガタガタと歯の根は合わないし、死の危険を感じるほどに寒かった。

 ……ここまでして貰っているというのに、迷ってなんて居られない。

 私は意を決して服を脱ぎ、一瞬だけ悩んで、胸を覆う下着も取り払った。

 最初の肌の感触は、ひんやりとしていた。