この前に会ったばかりよと私が呆れて、シメオン兄さんの薄茶色の目を見た。
優しそうな曲線とふっくらした涙袋が特徴の兄さんは、わかりやすく容姿の良い美形ではないはずなのに、実はとっても女性にモテる。
いわゆる、恋愛を楽しみたいと思うような人ではなくて、女性が結婚したいと思う男の人なのだろう。
「僕はニーナだって、悪くはない気持ちでいると、ヴァレールから聞いたが? あいつの先走りなのか?」
「嫌いではないし好意は持っているわ。けど、婚約なんて……私たちは、まだ何度か会っただけなのよ。兄さん」
「だが、貴族の婚約なんて、条件が合えばそんなものだろう? 他でもないお前が嫌だと言うのなら、僕は無理強いはしないよ。ニーナ」
「……いいえ。別に嫌では、ないけれど……」
兄にはマティアスとのことは言えない私は、ふうっとため息をこぼした。
……そもそも、今は付き合ってもいないのよ。彼から何度か言い寄られただけの他人なのよ。
優しそうな曲線とふっくらした涙袋が特徴の兄さんは、わかりやすく容姿の良い美形ではないはずなのに、実はとっても女性にモテる。
いわゆる、恋愛を楽しみたいと思うような人ではなくて、女性が結婚したいと思う男の人なのだろう。
「僕はニーナだって、悪くはない気持ちでいると、ヴァレールから聞いたが? あいつの先走りなのか?」
「嫌いではないし好意は持っているわ。けど、婚約なんて……私たちは、まだ何度か会っただけなのよ。兄さん」
「だが、貴族の婚約なんて、条件が合えばそんなものだろう? 他でもないお前が嫌だと言うのなら、僕は無理強いはしないよ。ニーナ」
「……いいえ。別に嫌では、ないけれど……」
兄にはマティアスとのことは言えない私は、ふうっとため息をこぼした。
……そもそも、今は付き合ってもいないのよ。彼から何度か言い寄られただけの他人なのよ。