「良かった……ここは、この街に来たら、僕は必ず寄るんだ。君に気に入ってもらえて、良かった」

「はい。すごく美味しいです。ありがとう」

 私は素直に嬉しくて、彼の言葉に微笑んだ。マティアスは目を見張って驚いた風にすると、また顔を綻ばせた。

「君の笑顔は本当に可愛いよ。ずっと見ていたくなる」

 私はまじまじと、彼の顔を見た。

 こういった甘い言葉を言う彼は、やり直す前の急に冷たくなる前までだったから。

 なんだか懐かしくて、嬉しくもあった。

「……君の反応は変わっているな」

 私が思った通りの反応を示さなかったせいか、マティアスはそう言った。

「いえ。ごめんなさい。そんなことを言ったなら、他のご令嬢ならば、赤くなって貴方に夢中になるわね」

 きっと、そうなると思うわ。以前の私みたいに、柑橘系のジュースが入ったグラスを持った。

 すっきりとして、とても美味しい。

「君にも、夢中になって欲しい」

 マティアスは、私をを見つめた。

 透き通る、青い目。不思議と悲し気に見えた。

 そんな訳がない。この人は、恋愛を遊びとして、楽しむような人で。