ジャンポールの言葉を聞きながら、私は先程運ばれてきたミルクティーに口を付けた。

 甘くてすっとした香りが良い。

 このカフェのお茶とお菓子は美味しいし、お値段も張らない。

 休みの度の街歩きした成果のお気に入りのカフェだ。

「……そうなんですね。ラウル様はすごく、優しそうな方ですね」

 どうやってラウル殿下の話を聞き出そうかしら。直接的には聞けないし……。

「……そうだな。良い主だと思っているよ。遊び心がありすぎるところもあるんだが」

「ラウル殿下の、遊び心ですか?」

 私の問いに軽く頷くと、ジャンポールは精悍な顔を崩して面白そうに笑った。

 厳しく真面目な人かと思ったら、こういう表情も出来るんだ……仕事中とは違って休みだから、かなり気を抜いているからかしら。

「幼い頃から、悪戯好きなんだ。城に飾られた貴重な美術品を壊して怒られたことも、昔は良くあったな」

「え。そんな風には……とても、見えませんね」

 今はもう立派に成人したラウム殿下の昔話に、微笑ましさを感じて、私たちは笑い会った。