そんなことを言われるとは思ってもいなかった私は、一気にぶわっと自分の頬が熱くなるのを感じた。

 まったく言いそうもない人の、不意打ちの甘い言葉は心臓に悪い……。

 だって以前の彼は同僚であり友人であったマティアスの恋人である私には、当たり前だけど、そんな言葉をかけたことはなかった。

 私には一定の距離を保ち、それを崩そうとしなかった。

「あ、ありがとうございます……今日は来てくれて、ありがとうございます。近くに私が良く行くカフェがあるんですけど、もし良かったら行きませんか?」

 両手で顔を隠したい衝動に駆られながらも、こちらから呼び出した手前、私が行き先を提案した。

 ジャンポールはそれに小さく頷いた。

「あの、近衛騎士のお仕事って、すごく……大変ではないですか?」

 お店に着き注文を済ませ注文した品がそろったところで私がそう切り出すと、ジャンポールは不思議そうな様子で言った。

「……俺か? いや、近衛騎士は時間での完全交代制だし、第二王子付きというのもあって、普通の騎士より融通は効くと思うが」