本を読んだり、刺繍をしたり、とても女の子らしい。

 逆に私は街に出て、買い物や外食をすることで、仕事中感じていたストレス発散することが多い。

「ええ……この前は、全くあの方とお話しが出来なかったもの」

 ええ。誰のせいとは、言わないけれど。あの顔を思い出すと、自然と眉が寄る。

 私に気がないとわかっているはずのマティアスは、一体何がしたいんだろう?

「可愛いわ。行ってらっしゃい。気をつけてね」

 お洒落をした私に、いつも通り出掛ける前の私服チェックをして頷いたセイラは軽く手を振った。

◇◆◇

「こんにちは、ハサウェイ様」

 私は待ち合わせした場所に立っていたジャンポールに微笑んだ。今日も彼らしく素っ気ないくらい何の装飾もない服装だ。

 ジャンポールはそわそわした様子ながらも、私へ微笑み返してくれた。

 彼の背は見上げる程大きく、鍛え上げられた引き締まった体からは無言の威圧感があった。

 周囲で人待ち顔の人たちも、遠巻きに距離を置いていた。

「ああ……ニーナ嬢、その……私服姿も、とても綺麗だ」