私は……メイヴィスお嬢様とラウル王子を守るためには、何をどうしたら良いの?


◇◆◇


「……ニーナ? ニーナ!」

 パッと目を開くと、赤毛のセイラが心配そうに私を見下ろしていた。

 ……顔が何故か、冷たい。夢から目覚めたんだ。はぁっと大きく息をつく。

「なんだか、ひどくうなされていたわ。嫌な夢でも見たの?」

 私は眠ったままで、よほどうなされて苦しんでいたのかもしれない。セイラの言いにくそうな問いかけに、横たわったままでゆるく首を振った。

 頬に手をやると、冷たい。眠りながら、涙を流して泣いていたみたい。

 あの森の小屋でのことは、悪い夢なの? ……それとも酷い現実?

 魔法使いは、きっと、いろんな魔法が使える。夢を操ることだってできるだろう。

 この方法であの記憶の持ち主を、私に教えようとしたの?

「……ニーナ、大丈夫なの?」

 何も言わず考え込んだ私を不思議に思ったのか、セイラはまた声を掛けてくれた。

「セイラ……ごめんなさい。大丈夫よ。なんだか、変な夢を見てしまったわ。起きたことが、一瞬わからなくて、呆然としてしまって……」