私がここに来た理由を思えば……本当に気まずい。


「今日の服も可愛いね。良く似合うよ」

 如才なく私が着ていた水色のワンピースを褒めると、青い美しい目を細めて微笑んだ。

「ありがとう」

 私も話しかけられて無視するほど、訳が分かっていない子どもでもない。

 マティアスはきらきらとした青い目で、私を食い入るように見つめる。彼のすぐ後ろに居るはずのセイラやジャンポールなど、どこ吹く風だ。

「あの……」

 私は少し見つめ過ぎなのではないかと言いそうになって、言葉を止めた。

 マティアスが切なそうな、そう泣き出しそうな顔に一瞬なってしまったからだ。見間違いかと思うほどの瞬きもしないうちの、元通りの飄々とした表情にくるりと戻った。

 え。さっきの表情は、何なの。ぽかんと口を開けて彼を見上げた。

「何? ニーナ」

 マティアスは、にこにことした笑顔で聞いて来た。いかにも楽しそうで、さっき見えたような切なそうな表情とは全然違う。

 あれは、私の見間違いだったんだろうか?

◇◆◇

「ほら……面倒なことになったでしょう?」