色は様々で、今まさに瓶の中に増えている薄紫色の私の恋と同じような色もあれば……もっと深い藍色に近い色もあったり、またその逆もあったり……そして、中にはエメラルドグリーンやゴールドに近いイエローもあったりで、まるで色順に整えられていない、絵の具の箱を見ているようだった。

「すごく……濃いピンク色ね」

 待ちぼうけになっていた私は、一際その中でも目立つ、輝くようなピンク色の瓶に近づいて指を差した。

 南国の花のように華やかで、とても美しいピンク色。ほんの少しだけ青みがかっているのが、より一層美しかった。

「それは……とても特別な恋だ」

「特別……恋に特別なんてあるの?」

 私は何を言い出したのかと、魔法使いの顔を見た。

 恋に特別なんて、何もないように思える。

 だって……誰でも、自分の恋は特別な恋のはずでしょう?

「恋を忘れることを望んだのは、その心を持つ彼女ではなく……その恋の相手である男性の方。眠った彼女を連れて、自分との恋を忘れさせてくれと願った」

 私は自分の眉と眉の間に、皺が寄ったのを感じた。

「……なんて、勝手な男なの」