無表情な顔の目の下が赤い。

 私はより不思議に思って、数歩近づいて彼の顔を覗き込んだ。

 ジャンポールは逃げるように二歩下がって、思い直すように立ち止まった。

 ……凄く慌てて、本当にどうしたの?

「俺と……」

「はい?」

「食事に、行かないか?」

「えっと……食事、ですか?」

 私はジャンポールに言われた意味を理解しようとして、必死で考えた。

 え……そっか、今の彼の目には私は、相棒の彼女とかでもなくって、単なる独身で彼氏のいないの女の子に映っているんだ。

 私はジャンポールをまじまじと見た。

 黒い短髪に、鋭角なラインを描く精悍な頬。私がなんと答えるのか不安なのか、少しだけ揺れている黒い目。

 ……この人なら。

「良いですよ」

 私が答えるとジャンポールは何も言わずに固まった。

 その様子から、彼がどんな人か理解出来る。

 きっと……こんな風に女の子を誘ったのは、これが初めてなんだろう。

 私は見上げて、安心させるように、にっこりと微笑んだ。

 ジャンポールは、ぐっと息をのんでから大きく息を吐いた。

「……また連絡する」