私の視線の先で何を考えたのか理解したのか……薄い緑色の上着と黒い下衣で私服姿のマティアスは微笑んだ。
マティアスは、いつもお洒落で、隣に並ぶときにすごく気を使ったっけ……隣に立つことがあるなんて、思ってもみなかった。
「……私もう、行きますね」
自然と、頬が熱くなる。それを、隠すようにして、慌てて振り向いた。
……なんだろう。この気持ち。また、傷つきたくない。
「今日は何処まで行くの? 良かったら、僕が荷物持ちで付いていくよ」
歩みの速度を上げる私に、マティアスは余裕な表情で付いて来た。
「荷物持ちは、必要ありません」
「今日は、君も僕も休みだし……お茶でもしない?」
私の言い分を完全に無視して食い下がるマティアスに負けて、私は立ち止まって頷いた。
街までこんな風に二人で言い合いして歩くなんて、すごく恥ずかしいし。
……そう心の中で、自分に言い訳しながら。
◇◆◇
「綺麗な目の色だね。珍しくて……あまり見ない色だ」
カフェまで辿り着いて注文を終えると、マティアスじっと私の目を見つめて微笑む。