※この時間軸は、本編では、もう、存在しないことになっていますが、ニーナを救うため自分を犠牲にしたマティアスの独白です。
ifとは言え、バッドエンドですので、そこを留意してお読みください。




 僕は教会の扉を開いた。
 首回りの悪魔の紋様がチリチリと痛む。当たり前だ。悪魔と契約したものが神にすがるなんて、なんて間抜けなんだろう。

 契約の時間はもうすぐだった。
 もうすぐ、僕の首は落ちるだろう。魂は魔界に消えるだろう。
 出来れば最後の時まで最愛の彼女と、過ごしたかった。僕のことなど忘れて幸せになるだろう彼女と。

 指をぎゅっと痛いくらい握り締めて、願いをこめて祈った。
 このすべての望みを叶えることが出来たなら、それは過ぎた欲だと人は笑うかも知れない。

 なんだって構わない。
 君がまた笑えるようになるのなら。




 君の幸福にいつか不幸が裏返るなら、それはすべて任せてくれれば良い。