「マティアス!」

 メイヴィス様の悲鳴のような声に、私は戸惑って目を開けた。

 見えたのはマティアスの背中。私を庇って目の前にいる。

「マティアス……」

 茫然として呟いた。そうだ。ここに来るようにと、そう兄さん達に伝えてもらったのは私だった。なのに、とても驚いていた。

「やっと、君を守ることが出来た……」

 バラバラとやって来たクロムウェル家の騎士達は粛々とセイラを捕らえる。いつも綺麗に纏められた赤毛がぐちゃぐちゃになっている。

 私は彼の腹部を見て、呻いた。ナイフが深く刺さっている。

 足をついたマティアスを慌てて支える。彼の腹部から血が流れてくるのを、茫然と見ているしか出来ない。