「悪かった……お前の事情も知らず……聞かずに責めた。すまなかった」
「兄さん……」
「家の再興が叶い、申し分のない嫁ぎ先を用意するのがお前の幸せだと思っていた。悪かった」
紫色の目を細め、兄さんは頭を下げた。
「兄さんのせいじゃないわ。私が馬鹿だっただけ。もっと早く……素直になれば良かったし、もっと早く事情を話せば良かった。ジャンポールとの婚約の件はすべて私が悪いわ」
「……グランデ家は……問題ないそうだ。今のご当主は芸術家肌で家の事はもう既に先程のカイン殿に任せているとのことだし、ハサウェイ家も嫡男のジャンポール殿に任せているということだから、どちらに嫁にいくにしろ、お前の好きにしろ」
「ヴァレール兄さん、待って」
言い切って去ろうとした兄さんの腕を取って、私は言った。
「ごめんなさい。私のためを思ってしてくれたことはちゃんとわかってる。ありがとう……大好きよ、兄さん」
ヴァレール兄さんは驚いたように、目を見開き笑った。
「妹に言われても嬉しくないな。それに、俺は年下は対象外だ」
「何を言ってるの兄さん。馬鹿じゃないの」
ユーモアだとしても趣味は良くない。気分を害した私の手を取ってもう一度笑った。
「お前の幸せを願うよ。王位継承権が関わろうが、王に逆らったからと言ってこの国に居られなくなっても俺の会社で全員雇ってやろう。自分の事を誰も知らない異国で暮らすのも悪くないさ」
「兄さん……」
「家の再興が叶い、申し分のない嫁ぎ先を用意するのがお前の幸せだと思っていた。悪かった」
紫色の目を細め、兄さんは頭を下げた。
「兄さんのせいじゃないわ。私が馬鹿だっただけ。もっと早く……素直になれば良かったし、もっと早く事情を話せば良かった。ジャンポールとの婚約の件はすべて私が悪いわ」
「……グランデ家は……問題ないそうだ。今のご当主は芸術家肌で家の事はもう既に先程のカイン殿に任せているとのことだし、ハサウェイ家も嫡男のジャンポール殿に任せているということだから、どちらに嫁にいくにしろ、お前の好きにしろ」
「ヴァレール兄さん、待って」
言い切って去ろうとした兄さんの腕を取って、私は言った。
「ごめんなさい。私のためを思ってしてくれたことはちゃんとわかってる。ありがとう……大好きよ、兄さん」
ヴァレール兄さんは驚いたように、目を見開き笑った。
「妹に言われても嬉しくないな。それに、俺は年下は対象外だ」
「何を言ってるの兄さん。馬鹿じゃないの」
ユーモアだとしても趣味は良くない。気分を害した私の手を取ってもう一度笑った。
「お前の幸せを願うよ。王位継承権が関わろうが、王に逆らったからと言ってこの国に居られなくなっても俺の会社で全員雇ってやろう。自分の事を誰も知らない異国で暮らすのも悪くないさ」