「僕が最初から間違っていたのかもしれない、あの時は最善だと、そう思ったけれど、君の気持ちや兄上達の言葉を聞いて、それは間違っていたと、今は思えるんだ。……君の気持ちを知っているジャンポールは必死になるだろうし、僕も必死だ。それは僕が招いたことだからね、受け止める。決して負けないけどね」

「マティアス」

 私たち二人は見つめ合って、それからもう一度キスをした。

「……君の家だと、流石に手は出せないな。お兄さん達に殺される」

 私は苦笑した。それは間違いないと思うと思って。

「マティアスのところの兄弟は、四人ともよく似ているのね……弟のエヴァン様は、すごく無邪気そうだったけど」

 ああとマティアスは苦笑しながら、私の髪を撫でた。

「あいつだけ年が離れているから、親も兄上たちも甘やかした結果あれだよ。エヴァンを可愛がり、僕みたいな三男はほったらかしだったからね」

「皆、素敵だったわ」

「……兄上達は婚約者が居るし、末っ子のエヴァンは君には合わないよ」

 私はふっと吹き出した。マティアスは拗ねた顔をしている。彼がこういう顔をするのは珍しい。