マティアスはまた目を見張り、信じられない。と言うように口をぱくぱくさせた。

「流石に傷物になった娘が、伯爵家になんてお嫁に行けないでしょう?」

「ニーナ」

「……責任、取ってくれるでしょう?」

「それはもちろん……でも、本当に良いの?」

「マティアス、しつこい」

 私はそっと彼のはだけたシャツのボタンに手をかけた。ひとつひとつ外していく。鍛えられた筋肉が露になっていく。私はその美しい肉体にため息をつきながら、手を添わせた。

「ニーナ、やっぱり……」

 私はその後に続く言葉を食べるように彼にキスを仕掛けた。そっと舌をだしてためらいがちに開いた唇に入っていく。ぬるりとした感覚。彼にとってははじめてかもしれないけれど、私には久しぶりのマティアスとの深いキスだ。