クロムウェル公爵家でのお茶会はやはり身分が高いがより多く参加していて、私はメイヴィス様とのご縁で選ばれたというだけだろう。

 いくつかのテーブルに別れているけれど、私と隣の席の彼女のように身分の近い者同士で固まっている場合が多い。

「ごめんなさい。少し席を外すわ」

 私は隣の彼女に声をかけて立ち上がると、彼女はにこやかに微笑んで頷いた。

「ええ。お気をつけて」

 慣れないお茶会の空気にすっかり疲れてしまった私は、勝手知ったるクロムウェル邸を少しだけ散策することにした。庭園は広く、招待客も多い。

 私が少しくらい席を外したからと言って誰も心配しないし大丈夫だろう。

「あら! 成金の匂いがするわ」

 歩いていた私が一人の令嬢と擦れ違おうとした時に、彼女はいきなり私に向かって侮辱の言葉を放った。

 いきなりの罵声に面を食らったけれど、そんなことで動揺していては貴族であるとは言えない。

「……ミレイユ様。ごきげんよう」

 私は何も聞こえなかった振りをして、にっこりと微笑み、ドレスの裾を持って正式な挨拶をした。