薄紫色のとろとろとした液体が、透明な瓶の中を増して行くのを不思議な気持ちで見ていた。注ぎ込むような蛇口はどこにもみつからない。ただじりじりと水位を増していく。
「君の恋は、綺麗な紫色。楽しいことも、悲しいことも、半分ずつ」
忘れたい記憶を、もうおぼろげになりつつある記憶を思い返してみるけど、最初はとても楽しかったけど最近は悲しいことばかりだったように思えて目を伏せた。
なんでもない場面にいた『彼』の目が、なぜか今の私を責めているように見えたから。
全部を捨てたのは、自分のくせに。
「もう……どうでも良いことよ」
魔法使いからの言葉に、力なく答える。
瓶の中の液体が増えるたび、ひりひりと焼けつくような胸の痛みは、減っていくのを感じられたから。
今までの苦しみが嘘のように、とても楽になる。
そして……私は失恋を忘れて、空っぽになれる。
「そう。なにもかも、すべて忘れてしまえる。君の望むとおりに」
目深にローブを被った魔法使いは、薄暗い部屋の中でかろうじて見える口元に笑みを浮かべた。
「君の恋は、綺麗な紫色。楽しいことも、悲しいことも、半分ずつ」
忘れたい記憶を、もうおぼろげになりつつある記憶を思い返してみるけど、最初はとても楽しかったけど最近は悲しいことばかりだったように思えて目を伏せた。
なんでもない場面にいた『彼』の目が、なぜか今の私を責めているように見えたから。
全部を捨てたのは、自分のくせに。
「もう……どうでも良いことよ」
魔法使いからの言葉に、力なく答える。
瓶の中の液体が増えるたび、ひりひりと焼けつくような胸の痛みは、減っていくのを感じられたから。
今までの苦しみが嘘のように、とても楽になる。
そして……私は失恋を忘れて、空っぽになれる。
「そう。なにもかも、すべて忘れてしまえる。君の望むとおりに」
目深にローブを被った魔法使いは、薄暗い部屋の中でかろうじて見える口元に笑みを浮かべた。