入れたものをなんでも消せる袋を手に入れた。袋はなんでも消してくれた。点数の低いテスト用紙、昔書いた日記、要らなくなった服。次々入れてみても袋は決してはち切れることはなく、入らなくなることもなかった。まるで底なしの闇のようだった。

 ある日、消したいものがなくなった。袋に入るもので消したいものはもう全て入れてしまったのだ。そこで彼はあることを思いついた。初めからこうすればよかったのだ。そう言いながら、彼は袋を裏返した。