家族みんなで旅行に来た。二人目の子供が生まれてからは久しぶりだ。ずっと気になっていたカフェを巡ったり、ショッピングをしたり、それはそれは満喫した。決して裕福ではなかったので、普段は我慢ばかりだったが、今日くらいは羽目を外しても神様は怒らないだろう。

 最後にどうしてもと夫が言うので、海を訪れた。海は目を見張るほど綺麗だという評判の通り、水は透きとおり空の色を反射していた。波打ち際ではしゃぎ、そのうちに夕陽が沈んでいく。辺りが夜に染まっていくのを家族で並んで眺めた。

 「帰ろうか」

 夫がぽつりと言って頷く。私は立ち上がり、一歩踏み出して振り返った。砂浜に残った足跡4つ。寂しいような、切ないような気がした。