そして、文化祭当日。

かなりの人手で、正瞭賢正瞭賢(せいりょうけん)を受験する予定の学生だけではなく、OBやOGもかなりの数の人が来ているようだ。

私は、11時までのクラスのクイズ企画の司会を任されている。
昨日のリハーサルの様子を見て、全員一致で決まったという。
麗菜も近くにいたほうがいいだろうということで、彼女は併設されているカフェの案内役である。

モノトーンではあるがメイドさんを意識した衣装は、可愛いと評判だった。

主に、麗菜のファンクラブ会員の男子たちは、目をハートにしていたという。

私たちがこの時間から持ち場にいることは、私と麗菜の親世代の人たちには、伝わっているはずだ。

「こんにちは。
元気にしてた?
深明ちゃんも麗菜ちゃんも、すっかりお母さん似の美人になって。

放送部も、2人が入ってくれてるんだって?
元放送部OGとしては感激よ、ありがとうね」

そう言って、クイズ企画にチャレンジするべく来てくれたのは、美冬(みふゆ)さんだ。

ベージュのニットにブラウンの花柄のスカート、というワントーンの格好に、ダークグリーンのジャケットがよく似合っている。