リハーサルなのをいいことに、練習として問題を出してみた。

『体育教師で野球部顧問の巽先生の奥さんは次のうち、誰でしょう?』

『1.音楽教師の琥珀琥珀(こはく)先生
2.家庭科教師の小百合(さゆり)先生
3.教え子の誰かの母親』

「麗菜は分かってるから、何も言っちゃダメだよー!
もしかして、野球部にいる人なら分かるだろうから、その人もノーヒントでお願いします!」

皆、各々がスマートフォンのブラウザから解答していく。

さながらクイズ番組だ。

「30秒で答えは書けたかな?
さて、皆の答えは?
プロジェクターに注目!」

1と2の解答が半分ずつ。
3を選んだ人は誰もいなかった。

「正解は……!

1.の音楽教師の琥珀先生です!
2人は、この学園のOBOGだった頃からの付き合いなんですよ!

正解者の方には、30ポイントが入ります!

100ポイントで、景品がゲットできるとのことで頑張りましょうー!」

「ざっとリハーサルみたいなことやってみたけど、これ、楽しいね!

クイズの後の甘いスイーツとタピオカドリンクも良い感じだしー!
文化祭の企画賞くらいは貰えるクオリティーだと思う!
企画賞とって、担任にお好み焼き奢ってもらおうか!」

「コラ。
張り切るのはいいが、お好み焼きは奢らないぞ。

それから、巽先生の奥さんのことは、このクラスだけの秘密な。

あまり生徒が大人をからかうもんじゃない。

ということで、頼んだぞ」

担任の渡辺先生は、それだけ言うと、満足そうに私たちの顔をぐるりと見渡した。
「俺も一応、レジェンドよりは後輩だが、この学園にいたからな。
皆、しっかりレジェンドの意志を受け継いでいて、嬉しいぞ……!」

「渡辺先生、泣くなら打ち上げのときにしてくださいね?
 さぁ、準備手伝って貰いますよ。
 何なら、カメラ係お願いします!

卒業アルバムに載せる時の写真でエモくなるようなもの、お願いしますね」

私はそれだけを言って、放送部に顔を出すべく、麗菜と一緒に教室を出た。