突然の学園の伝説的レジェンドたちの来訪に、私のクラスメイトたちはざわついていた。

「あの親あってこの子あり、ってね。
麗菜ちゃんも深明ちゃんも、よく頑張ってるわ。

放送部も後で覗きに行くから、その時にまたゆっくり話しましょう」

それだけを言って、美冬さんはタピオカミルクティーをオーダーして、手をひらひらと振った。

「ほら、いつまでも美冬さんに見惚れてないで、私の両親の接客、お願いね!

私は、野球部の様子見てくるから、ここまでだ、ごめんなさい」

「私も、そろそろ放送部の公開収録の準備しなくちゃいけないんだ。
 ごめんね、これだけしか手伝えなくて」

「2人とも、頑張ってね!
 放送、聴くからねー!」

私たちと入れ替わりで司会になる果那に、ハイタッチをされた。

「まったく、私に似ていろいろ引き受けるんだから、深明ったら。

 まぁ、そのほうが私の娘らしいわ。
倒れない程度に、ほどほどに頑張るのよ、深明」

「分かってる!
 っていうか、それお母さんが言っていい台詞じゃないから!」

放送部の出番が終わったら、麗菜はそのまま松倉先輩と一緒に文化祭を楽しむらしい。

文化祭デートかぁ、いいなぁ。
私もそんな相手が欲しい。

私の脳内に、ふとヨッシーの顔が浮かんだ。

もしかして、私、ヨッシーのこと、意識してる?

まさかそんなこと、と一旦その映像を脳内から追い出した。