ほのちゃんに耳打ちされるけど、あたしは何をすることもできない。

だって二人は小さい頃からの知り合いで、幼なじみで。

あたしとじゃ、比べ物にならないほどの時間を一緒に過ごしてる。

あたしが知らない、浅丘君のこともきっと愛奈ちゃんはたくさん知ってる。

「あたしちょっと、トイレ行ってくるね。」

あたしはリビングを出た。

「あ。」

すると廊下で涼太君に鉢合わせ。

どうやら飲み物を取りに来たらしい。

「愛奈ちゃん、来てるんですか?」

涼太君がリビングの方を見ながら言った。

「うん。」

「ふーん…愛奈ちゃんには気をつけたほうがいいよ。」

…やっぱり、愛奈ちゃんは浅丘君のことが好きなんだよね。

「そんな顔しちゃって。愛奈ちゃんに負けちゃいますよ?」

「…ですよね…」

負けても仕方ない、今のあたし、情けない。

「もっと積極的に自信持っていかないと。俺みたいに。」

へ?

俺みたいにって…