光希のことは好きなんだけど、私が何度も言った嫌な事も伝わらないようじゃこの先が思いやられる。


何か言いたそうな光希を横目に、その場を離れるように歩く。

半年待ってても、同棲の話にすらならないなんてやっぱり違うよなあ、ズレてるというかなんというか。


そんなことをぼんやりと考えて、やっぱり寂しさというか悲しさがあり涙で視界がぼやける。


―――ドン

「あ、すみません。」

前があまり見えていなかったから誰かにぶつかってしまった。


「いや、というか大丈夫?」

「え?」


聞きなれた声に涙を拭いて、顔をあげる。


「相馬先輩…。」

「いやごめん、盗み見るつもりはなかったんだけど…。」


私がぶつかったのは、営業部の相馬先輩だった。

「あ、すみません。変なところ見せてしまって」