私は体育座りをして膝に顔を埋めていたから、男の人が何をみて声を上げたのか、わからなかった。

「大丈夫か?」

私は無視をした。私に聞いているか、わからなかった。

でも次の一言で、私に話しかけているのだと決定づける。

「うぉ〜、こんなにキレイに染まってる水色頭見たことねぇ〜。てか、ピアスばちばちだね。数えていい?」

そう言いながら、男の人が私の前にしゃがんだ感じがした。

私は涙を拭こうとポケットからハンカチを取り出す…ってハンカチがない。

「ほい。ハンカチ貸すよ」

手にフワッとした感触が当たる。私は手を広げ、それを掴む。目の前の男の子に背を向けて、ハンカチで顔を拭く。

私を見つけてくれた人が優しくて良かったら。と心から思う。

私は、男の子の優しさと、低い角に着心地の良い声をもとに勝手に顔を想像する。まず、眼鏡をかけて、黒髮マジメ君のミステリアスな感じ、だと私は思った。