花乃に気を遣った私が悪かった?
花乃がいないと何もできないの?

あぁ、そうだ。花乃が悪い。空気を読まない〝あいつ〟が悪い。私はいつも尽くしてやってるのに、なんで花乃は何も返してくれないの?

花乃なんて、消えてしまえば…

そんな自己中な考えが、より私を苦しめる。

自分の感情をコントロールしようと焦っている中、誰かの話し声が聞こえる。低い男の人の声だ。私の嫌いな〝男の人〟がこっちは来る。

あぁ。いやだ死にたい。

私は地面に尻をつける。足が痺れて、しゃがんでられなかった。それと同時に男の人の声が止まった。2人くらいがこちらとは違う方向へ走って行く。でも、1人こっちに向かってくる。愉快な鼻歌を口ずさみながら。

私は手に持っていた、財布を落とした。『カサッ』この音に気づいたのか、男の人の歩みが止まる。

〝バレた〟私は息を殺した。絶対に見つかったらダメだ。よりによって男の人に見つかったら、イジメの対象にすらなるのかも知れないのに。

男の人が歩き出す。そのあとは私の居る方へ向かっている。

男の人が「うぉっ」っと声を上げた。