…やっぱり人の肌は苦手だ。勘違いしてしまいそうになる。

花乃は女の子だって分かっていても、距離が近いと少し戸惑う。女の子で戸惑うなら、男の子は半径Iメートル以内に入ったら、ハグされているのと同じだ。体が当たったら、キスと同じだろう。

そんな私は、少しでも好みの男の子を前にすると、話すこともままならない。

花乃が私のことを身体から離すと、「購買行こ〜」と私に言ってきた。花乃は、お金持ってないのに…。

購買は体育館の隣にある。私たちの教室は四階で、購買までは10分かからないくらいだ。

今日のお目当ては、『海原高校』の名物〝星パン〟である。五つの角にバニラとチョコが交互に入り、真ん中がカレー味になっている。バニラとカレーを合わせて食べるのが、とても美味しい。

購買へ向かう途中で、たわいのない会話をしていると、花乃は人脈が広いからか、男女問わず話しかけられている。

あと2分で着くというところで、同じクラスの一軍女子に花乃が捕まった。会話は盛り上がっている。

私は花乃に気を遣われないように、影を薄めて彼女達から離れた。

私は盛り上がっている花乃を他所に、購買へ向かった。