「こちらはミランダ・ロブレード」
「まぁ、ロブレードと言ったら、首都でも有名な商団ではありませんか。まさかっ!」
「そう、彼女はそこの一人娘であり、いずれはロブレード商団を率いていく者だ」

 だからクライド殿下は平民に下るしかなかった。クライド殿下ほどの人物なら、裏でミランダ嬢を高位貴族の養女にすることができる。
 けれどミランダ嬢は、実家であるロブレード商団をこよなく愛する人物であったため、クライド殿下を選ぶことができなかったのだ。

『ロブレード商団は私そのものです。それを含めて受け入れてくださるのなら、クライド殿下の愛を受け入れます』

 彼女は堂々と言い放ち、クライド殿下はその言葉を受け入れた。もしかしたら、クライド殿下が平民となっても、自分を愛してくれるのか、試したのだろう。
 またクライド殿下も、『王太子でも、王子でもない僕を受け入れてくれるのならば』とかなんとか言ったらしい。
 そうして結ばれた後、今、私の目の前にいるのだ。だからミランダ嬢は、周囲から好奇な目で見られても、私を前にしても、堂々としていた。