「なぁんの実績もないくせに上から目線。しかも私たち王族に対して敬意も示さないのだから、排除したくなるのは当然でしょう? 結婚生活も最悪だったわ。勿論、白い結婚だったのはいうまでもないけどね」
「クライド殿下はケイティ王女様がわざとそのように振る舞っている、と仰っていましたが」
「まぁね。だから文句をいう資格はないのだけれど」
「……その理由を尋ねても?」

 あの時、クライド殿下には誤魔化されてしまったが、やはり気になった。

「私はね、ヘイゼル。本当は結婚などしたくなかったの。離宮でひっそりと魔導具を作って、時々やってくる人たちを驚かしたり、売ったりしながら、静かに暮らしたい。だからヘイゼルの気持ちが分かるというか、協力したかったの」
「……それは、私に格好つけただけで、お兄様に嫌がらせをしたかっただけではありませんか? あと、静かに暮らせないと思いますが」
「何故?」
「ケイティ王女様の魔導具の噂は兼ね兼ね聞いているからです。お兄様が結婚を承諾したのも、それを狙ってのことだと思っていましたので」