「二年前に助けていただいて、さらに今回のことも。これではますます……」
「ますます?」
「……好きになりました」

 もうすでに私の気持ちを知っているため、思い切って声に出した。
 けれど今の私はクライド殿下の婚約者。やはり迷惑だっただろうか、と俯くと、意外な返事が聞こえてきた。

「ようやくヘイゼル嬢から聞けましたね」
「えっ?」
「お気持ちは知っていましたが、直接お聞きしたわけではなかったので……実は俺の勘違いだったのかと……」
「そ、そんなことはないです!」

 私は椅子から立ち上がり、デニス様に向かい合った。