義母が領地へ行ってからしばらくして、新たなファンドーリナ公爵夫人が邸宅にやって来た。しかし、私はというと……。
「こんなにのんびりしていて、いいのでしょうか。それも王妃様のご実家で」
「いいと思いますよ。ヘイゼル嬢がファンドーリナ公爵家にいる方が、余計に気を遣われてしまいます。義理の妹とはいえ、クライド殿下の婚約者なのですから、ケイティ王女、いえ公爵夫人に悪いですよ」
デニス様に言われて、私は「そうですね」と笑顔を向けた。
特に呼び名に困ってしまうことだろう。
兄、フェリクスの妻となったのはクライド殿下の異母妹である、ケイティ王女様だったのだ。つまり、公爵夫人としては義妹だが、立場が王女になると義姉になってしまう。
だから気安く「ヘイゼル」と呼んでくださるけれど……ケイティ様も社交性がある方ではなかったため、親交を深めるのも難しく。私も気軽にお呼びすることができなかった。
「こんなにのんびりしていて、いいのでしょうか。それも王妃様のご実家で」
「いいと思いますよ。ヘイゼル嬢がファンドーリナ公爵家にいる方が、余計に気を遣われてしまいます。義理の妹とはいえ、クライド殿下の婚約者なのですから、ケイティ王女、いえ公爵夫人に悪いですよ」
デニス様に言われて、私は「そうですね」と笑顔を向けた。
特に呼び名に困ってしまうことだろう。
兄、フェリクスの妻となったのはクライド殿下の異母妹である、ケイティ王女様だったのだ。つまり、公爵夫人としては義妹だが、立場が王女になると義姉になってしまう。
だから気安く「ヘイゼル」と呼んでくださるけれど……ケイティ様も社交性がある方ではなかったため、親交を深めるのも難しく。私も気軽にお呼びすることができなかった。