それから数時間後。

「さて、公爵にも来てもらったわけだが、申し開きはあるかな?」

 ファンドーリナ公爵邸の応接室に、クライド殿下がいらっしゃった。正確には、登城していた兄、フェリクスを連れてきた、と言った方が正しい。
 兄は何事かと、バツが悪そうに私と同じ金髪をくしゃりとさせ、目つきの悪い紫色の瞳を細めた。

 そんな顔をされても困ってしまう。
 ご自分の母親の仕出かした後始末は、ご自分がしなくては。かつて貴方は私にそう言って、クライド殿下の婚約者になるように迫ったではありませんか。

 けれど義母は兄の表情など見ていないとばかりに前へ出た。