誕生日パーティーの数日後、クライド殿下の行動は早かった。まぁ、ご自分からの提案なのだから、当然といえば当然のことだった。

 早速、我がファンドーリナ公爵家への打診。それを兄が断る理由などなく、トントン拍子に私はクライド様の婚約者となり、そして……待ちに待った、この時が来た。

「本日よりクライド殿下からの命にて、ヘイゼル嬢の護衛を務めさせていただきます、デニス・ヴェルターです」
「よろしくお願いします、ヴェルター卿」

 そう、私の元にデニス様がやって来たのだ。これもまた、クライド殿下の配慮である。
 私がデニス様と話す機会があまりないことを愚痴ったら、このような気を利かせてくれたのだ。

 もうクライド殿下は平民ではなく、国王になるべきでは? と思わずにはいられない。
 ボンクラ王子でもなければ、頭も切れて、配慮もできる。そんなクライド殿下の元だったら、誰でもついていきそうだけど……当のクライド殿下は平民に下りたい、と願っている。それも、想い人と結ばれるために。

 どうしてそこはお花畑なのかしら。