目覚めた時、その見上げた天井はいつものシャンデリアと違っていた。

私の部屋は5灯の小さくて可愛いらしいシャンデリアだが、そのシャンデリアは20灯ほどの素晴らしく豪華で、落ちてきたらひとたまりも無いだろうシャンデリアだったのだ。

「ここは…?」

私がぼんやりと辺りを見回しながら呟くと…

「キャメラ…
俺の愛しい人…」

そう言ってレイゼン様はベッドに腰をかけ、私の頬に軽くキスを落とした。

しばらく何をされたか分からずに、しかし、キスをされたとハッと気づくと、私はシーツを胸まで引き上げ顔を真っ赤にした。

「そんなに警戒しなくても、何もしておらぬ。」

何をいけしゃあしゃあと…
今キスをしたではないか…!

何もしておらぬ、の意味をそのままに取った私は、キッ!とレイゼン様を睨みつけた。

「ほぉ…?
まだ、そんな顔が出来るのか…?
面白い女だ…」

レイゼン様は私の長いカールした髪を指にくるりと巻きつけて言った。

私はその美しい指を、しかしパァン!と払いのけると、まだ僅かにぼーっとする頭で言った。

「ファフィット侯爵ともあられるお方が、気分が悪くなって寝ている女にキスするなど、悪い噂が立つのでは?
ご自分のお立場を考えた方が良いかと思いますわ。」

「ふっふっふっ…
君は…

面白い…な…」

面白いですって!?
何でこんな所まで連れて来られて、キスされて挙句に面白いと言われなければならないのか!!!

私は頭に血が上ったが、レイゼン様が更にベッドに乗り私に詰め寄ると、また不思議な気分になった。

ダメ…
この人に近づいては…!

本能的にそう思った。