帰りも晴は機嫌よく鼻歌を歌ったりしていた。晴が教えてくれた友人の隼人の話はどれも面白く、会う前から隼人の人となりが想像できるものだった。

 帰宅するとリビングで悠真が待っていた。二人を出迎える悠真の笑顔がどことなく固いのは気のせい?

『お帰り。ドライブ楽しかった?』
「うん。バイクで走るのってすごく気持ちいいね!」
『楽しめたならよかった。……俺ら上に行くな。おやすみ』
「うん? おやすみなさい」

足早に晴を連れて階段を上がる悠真に違和感を覚える。

(なんだろう? 珍しく悠真が慌ててるみたいだった)

よくわからない胸騒ぎの予兆を感じつつ沙羅は自室の扉を開いた。

 二階の廊下で悠真と晴は足を止めた。

『お前が沙羅と出掛けたすぐ後に星夜の親父さんが訪ねてきた』
『まじか。そりゃあニアミスだったな。沙羅連れ出しておいてよかった』
『沙羅はまだ星夜の家の事情知らないからな。今日明日は実家泊まるって』
『はぁー。星夜も大変だよな……』

 悠真と晴のひそひそ話の意味を沙羅は知らない。
四人がそれぞれに抱えている秘密、苦悩、想いを彼女はまだ、何も知らない。