バイクは渋谷から青山を抜け、六本木の街にポツリと現れた公園の前で停車した。公園の入り口の自販機で飲み物を買ってベンチに並んで座る。

大通りに面した公園のすぐ隣は首都高、交通量の多い騒がしい場所だが公園には自分達の他に人の姿はない。

『バイク飛ばすとスカッとするなぁ』

夜空を見上げる晴の顔には笑顔が宿っている。彼は喉を鳴らして自販機で買った炭酸飲料を飲み干した。

『明日沙羅に紹介する隼人って奴な、俺の大事な友達なんだ。タイプとしては悠真に似てるかな』

 晴は高校時代の悠真達との様々な武勇伝を面白可笑しく語った。(※)

悠真が生徒会長で隼人が副会長をしていたこと、高校3年の時に全校生徒を巻き込んだ賭博《とばく》事件を生徒会にいた悠真と隼人が解決したこと、
テストで赤点をとって夏休みがなくなるピンチに直面していた晴の勉強係を悠真と隼人がしてくれたこと……。


(※)早河シリーズ序章【白昼夢スピンオフ】の出来事