アメリカに旅立った行成からメールが届いた。


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彼らと仲良くね☆
もしも彼らの中の誰かとお付き合いすることになってもお父さん反対はしないけど心の準備があるからナイショでこっそりお付き合いだけはやめてね!
お父さんショック受けちゃうヨ(T-T)
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 これが四十代後半の巷ではイケメンと噂される敏腕音楽プロデューサーが娘に宛てたメールだ。がっくりと肩を落とした沙羅は父へメールの返信を送って自室を出た。

(お父さんも余計な心配だよね。私があの四人とどうこうなるなんてないでしょ)

 西向きのキッチンの窓からは傾き始めた太陽の赤い光が差し込んでいる。エプロンを身に付けた沙羅はキッチンの壁にかかるコルクボードを一瞥した。

コルクボードにはUN‐SWAYEDの1週間分のスケジュール表が貼り付けてある。これを見れば全員のスケジュールが把握でき、食事の用意の有無もすぐわかる。

 今日は全員が18時には仕事が終わる。今の時点で誰からの連絡もないなら帰宅時間は予定通り、夕食の用意は五人分だ。

 今日のメインは唐揚げ。今朝、特製のタレに漬け込んでおいた鶏肉はいい具合にタレを吸い込んで冷蔵庫の中で出番を待っている。

行成が出張でほぼ一人暮らしの生活だった今までも料理は作っていた。幸いにも沙羅の料理は四人には好評でおかわりもよくしてくれる。