夕食は出前の寿司。この日のために行成が新調した大きなダイニングテーブルを沙羅と行成、UN-SWAYEDの四人が寿司を囲んで座っている。

10年前に母親を亡くしてからは父と二人だけの食卓だった沙羅はこんなに大勢で食事をするのも久しぶりだった。

 そんなこんなで慌ただしく始まった沙羅と四人組のルームシェア。行成は夕食の終わりに仕事の連絡が入って出掛けてしまい、初日からいきなり四人組と沙羅だけの夜となった。

(あのゴーイング・マイウェイ・ファザーめっ!)

四人の男との前途多難な同居生活はやはり不安だ。行成の呑気さも、それでも年頃の娘を持つ父親かと叫びたくなる。

『沙羅ちゃん手伝うよ』

 キッチンで食器の片付けをしていた沙羅の隣に星夜が並んだ。

『俺達もここの住人だから家事もしないとね。って言っても仕事があるからそんなに家のこと出来ないかもだけど、俺達が家にいる時は遠慮なく頼ってくれていいから』
「はい。ありがとうございます」
『それとこれからは敬語禁止。タメ口で良いし名前も呼び捨てで呼んでよ』

 妖艶に微笑する星夜と沙羅の距離が縮まる。青みがかかった灰色の瞳に惹き付けられて目が離せない。顔を赤くした沙羅はうつむいた。

「でも年上ですし……」

四人の年齢は星夜と海斗が沙羅の3歳上、悠真と晴が沙羅の5歳上で皆年上だ。

『あ、また敬語使ったな。ダメダメ。敬語だと仕事してるみたいで落ち着かないの。家ではリラックスしたいのと、俺は沙羅ちゃんと家族になりたいんだよ』
「……家族?」
『そう。家族に敬語は使わないでしょ? 俺と家族になるの、嫌?』

 そんなに綺麗な顔で『嫌?』と聞くのは反則だ。