音楽室でのミニライブを終えた沙羅達はそのまま二十階に留まり、四人の部屋割りを沙羅に説明した。
二十階には音楽室と四つの個室、ウッドデッキのテラスがある。階段を上がって左側、南東方向に個室が四つ並んでいる。

階段のすぐ隣の部屋が海斗、その横が星夜。海斗と星夜の部屋と廊下を挟んだ向かい側が北西向きのテラスになっている。

星夜の隣室が晴、一番奥の部屋が悠真。晴の部屋の向かいにはトイレと浴室、悠真の部屋の向かいが音楽室だ。

 位置関係では十九階の沙羅の部屋の真上が星夜、行成の部屋の真上が海斗、リビングの真上が晴と悠真の部屋になる。

 四人の部屋には木製のプレートがかけられている。プレートには各自の名前がアルファベットで綴られ、名前の色も全員違った。
KAITOはターコイズブルー、SEIYAは紫、HARUはオレンジ、YUUMAは水色。このプレートは晴の手作りらしい。

『これは沙羅ちゃんと葉山さんの分』
「私達の分もあるんですか?」

晴に渡された沙羅のプレートは他の四人とは造りが違う。
四人のプレートは楕円形だが沙羅のプレートはハート型でピンク色のSARAの文字。プレートは沙羅の好みで、とても可愛らしい。
行成のプレートは四人と同じ楕円形に深緑色の文字でYUKINARIとあった。

『沙羅ちゃんの色、勝手に決めちゃったけどピンクでよかったかな?』
「はい。ピンク大好きです! とっても可愛いプレートありがとうございます!」

 沙羅の笑顔を見て安堵した晴はプレートを抱えて下に降りる彼女を見ながら悠真に耳打ちする。

『葉山さんに沙羅ちゃんの好み聞いておいて正解だった。あんなに喜んでくれて作ったかいがあったぜ』
『そうだな。プレートひとつで喜ぶなんて相変わらず素直な子だよ。昔と全然変わってない』

 悠真は部屋の扉にかかるプレートの水色の文字を懐かしげに眺めていた。この水色に込められた意味に沙羅が気付くのはいつになるだろう?