仮に晴と星夜と悠真がHARU、SEIYA、YUUMAだったとしても、無愛想で口の悪い高園海斗と心に突き刺さる歌声を持つボーカルのKAITOが同一人物だとは信じがたい。

『そんなに信じられねぇなら今から聴かせてやるよ。俺達の歌』
『最初からそのつもりだったしね』

沙羅の心境を読み取った海斗がニヤリと笑った。星夜も嬉しそうに指を鳴らす。

『ッシャァッ! 沙羅ちゃんへの挨拶代わりに一発やりますか』
『葉山さん、音楽室お借りします』

晴が勢いよく立ち上がり、行成に目礼した悠真も颯爽とリビングを出ていった。状況が飲み込めない沙羅は悠長にコーヒーを飲む行成に顔を向ける。

「お父さんどういうこと?」
『今から彼らのライブが始まるんだ。UN‐SWAYEDの生歌を特等席で聴けるなんて沙羅は幸せ者だなぁ』
「ライブって……」

 彼女はやっと状況を察した。彼らが本当に本物のUN-SWAYEDならば今から始まるのは……。