『高園悠真です。さっきから弟が失礼ばかりしてごめんね』

 サラサラの茶髪の男、高園悠真は苦笑いしてまた沙羅に謝った。気にしていないですと言おうとした沙羅は、悠真が語った重要な情報に耳を疑った。
二人の名前は高園悠真と高園海斗……?

「もしかして、お二人は兄弟?」
『うん。海斗は俺の弟』

物腰の穏やかな兄と口の悪い弟。世の中には性格の似ていない兄弟はごまんといるが、高園兄弟も中身はまるで似ていない。
それでも見た目は兄弟と言われてみれば確かに顔立ちは似ている。

 沙羅は自己紹介を受けた四人の名前を反芻した。最近どこかで似た名前の集団を目にした。

「……ハル、セイヤ、カイト、ユウマ? UN-SWAYEDの四人と同じ名前だよね」

 今月発売の音楽雑誌に父が書いたコラムが載っていた。そのコラムは今話題のロックバンド、UN-SWAYEDについて書かれていた。

ユウマやセイヤなどは近年よくある名前でも、ここまでバンドメンバーと名前の一致が揃うのも珍しい。
ハルやカイトなんて、そう何人もいる名前でもないのに。