「任せられるって……お父さんは私が男と一緒に住んでも平気なの? 何かあったらどうするの?」
『お父さんは彼らを信用しているし、何かあったらそれはそれで……』
「はぁ?」
『いやいや。沙羅の心配事もわかるよ。念のために沙羅の部屋には鍵をつけておいたから。ほら』

 行成は沙羅の部屋の扉を指差した。よく見ると内側から施錠できるようになっている。
部屋に飛び込んだ時には鍵の存在に気が付かなかった。

「いつの間に……」
『沙羅が学校行っている間に取り付けてもらったんだ。もちろん沙羅が使うお風呂場もね。これでプライバシーは守れるよ』

心配なのはプライバシーではなく貞操の方なのだが。自室や浴室には鍵があるとは言え、リビングやキッチンは皆で共有することになる。
男が四人の中に女が一人、父は娘の貞操が心配じゃないのか?

『彼らは沙羅の家族だよ。四人は絶対に沙羅を守ってくれる。沙羅の家族になってくれる。……ね、彼らがここに住むことを許してくれないかな?』

 普段は見ない父の真剣な眼差しに少しだけ父と、あの四人を信じてみようと思った。
ちゃらんぽらんでいい加減で自由人で破天荒な父親だが、父を信じて間違ったことは一度もない。

沙羅は小さく頷いた。