男に文句を言うために勢いよくリビングに踏み込んだ沙羅は唖然とした。

『おお、沙羅。やっと来た。早くこっちに来て座りなさい。話があるんだ』

 リビングのソファーには沙羅を手招きする行成を囲むようにして四人の男が座っていた。
四人のうちの二人には見覚えがあった。最初に玄関先で出くわした結城星星とリビングの前で邪魔者呼ばわりした目付きの悪い男。
残る二人を見た沙羅は心の声をそのまま呟いていた。

「……ホストクラブ?」
『ははっ。沙羅、何言ってるんだよ。とにかくおいで。沙羅が好きなフランボワーズのケーキもあるよ』

エレベーターから降りてきた行成が抱えていた小箱は沙羅の大好物のパティスリーKIKUCHIのケーキだ。お茶をしながら話をしようと言うことらしい。

 目を泳がせつつ沙羅は父の隣にいそいそと腰を降ろした。ホストクラブと思ってしまったのは、ここにいる四人組がとんでもない容姿の持ち主達だったから。