そろそろ、卒業式もお開きになる時間が近づいて来ていた。私はというと焦る気持ちが抑えられない。さっき話しかけに来たマリアンナの姿だって見当たらなくなったし、二人とも一体何をしているのよ!

「もうっ……このままだと卒業式が終わってしまうわ。まずいわね……今夜婚約破棄して貰わないと、私はどうなってしまうの?」

 レイモンとマリアンナが結婚するためには、レイモンの婚約者エレオノーラとの婚約破棄は、絶対に不可避だ。

 ……けれど、彼が現れないとこのままでは、漫画の展開とは大きく異なってしまう。

 原作通り私の希望通りの田舎への追放なら、両手を挙げて大歓迎するのに! ここでレイモンから婚約破棄されずに、卒業した後で断罪され若い学生のことだからという温情もなく、田舎に行く以外の処罰を受けるなんて……絶対に嫌!

 そもそも、ここに居る私はマリアンナを虐めてないし! とは言っても、転生しているのはエレオノーラの身体だから、そんな言い訳は聞いて貰えないと思うけど!

「とにかく、レイモンを探しましょう……彼が居ないと、私への断罪は始まらないんだから」