「そうだ。君は三日前にマリアンナと一緒に、魔法薬の店に行き、肌が綺麗になる薬と安眠薬を買ったはずだ……そして、マリアンナは、取り扱い要注意の高価な忘却の魔法薬を買ったと聞いている。もしかしたら、そこで薬を取り違えたのかもしれない……エレオノーラが記憶が無いと気がついた時は、いつのことだった?」

 それを聞いた時に、軽く頬が引き攣る感覚がした。婚約者だからって、私の行動について詳しすぎではないですか。殿下。

 ……ええ……それって、店への同行者はマリアンナだけっぽいし、レイモンは行ってないはずなのに、なんで知ってるの? ……き、きっと私が彼に直接言ったのかもしれないし、そういうことにして置こう。

 うん。知らなくて良いことって、世界に沢山あるはず。

「……今朝、気がついたら鏡の前に居ました」

 レイモンはそれを聞いて、何度か納得するように頷いた。

「肌が綺麗になる薬と安眠薬なら、昨晩飲んでいるはずだから、薬がすり替わっていて、翌朝に気がつくのなら、おかしくはないだろう。確か、さっき君はマリアンナが僕を探していたと言っていたね?」